上一宮大粟神社
かみいちのみやおおあわじんじゃ
参拝日:2015年12月13日

所在地: |
徳島県名西郡神山町神領字西上角330 [地図] |
御祭神: |
大宜都比売命 |
公式頁: |
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社格等: |
承和8年(841)8月21日 天石門和氣八倉比咩神 従五位下 続日本後紀
貞観7年(865)2月27日 天石門和氣八倉比咩神 従四位下 三代実録
貞観13年(871)2月26日 天石門和氣八倉比咩神 従四位上 三代実録
貞観16年(874)3月14日 天石門和氣八倉比咩神 正四位下 三代実録
元慶3年(879)6月23日 天石門別八倉比咩神 正四位上 三代実録
元慶7年(883)12月28日 埴生女屋神 従五位上 三代実録
延喜式内社 阿波國名方郡 天石門別八倉比賣神社 名神大 月次新嘗
阿波国一宮
明治5年郷社
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徳島県名西郡神山町にある。四国の酷道で著名な国道439号線(よさく)沿いに大鳥居が建っている。酷道となっていくのは、ここから西へ進んだ剣山の見ノ越への登りから。12月らしいちょっとだけひんやりとした気候ですごしやすい日。12:30頃の到着。
大鳥居をくぐるとすぐに隋神門があり、そこからはしばらく木立に囲まれた未舗装の参道がある。ほとんどの参拝者は車で境内まで登っていくため、こちらの参道に人の数は少なく、とても良い雰囲気。中腹当たりから石階段が整備されるが、こちらも切石の整ったものではなく、自然石を敷き詰めたもので個人的に好みの参道。参道を登りきるとすぐに入母屋造の拝殿が見える。本殿は朱塗りというよりは赤塗りの春日造。赤が濃すぎかなと少しだけ違和感を感じたが、湿気防止や耐久性を上げるためなのかな?
ふもとの大鳥居から境内まで古きを残しながら、整備が行き届いている。いにしえの社をいまに伝え残してくれていることに感謝。
創建年代は不詳、三代実録の元慶7年(883)12月28日条に従五位上に神階奉授されている埴生女屋神は当社のこととされる。また阿波国の式内名神大社の天石門別八倉比賣神社を当社に比定する説もある。
『明治神社誌料』記載の縁起によると、祭神の大宜都比売命は伊勢国の丹生より来られて粟を蒔き国土経営を行ったので当山を大粟山と称し、大粟神と崇めて、この地に社殿を造立し祀ったことがはじまりという。
中世には大粟大明神と呼ばれていた。一宮を称した中世以前の史料はないが、南北朝時代には当地が「上一宮」と称されていたことが、名西郡神山町の観善寺所蔵の大般若経に記されている。
「上一宮」とは当社から見て鮎喰川の下流にあたる場所に当社から分祀された徳島市一宮町の一宮神社が「下一宮」と称されたことに対するものらしい。
一宮神社への分祀は、久安2年(1146)7月11日「河人成俊等問注申詞記」(『愚昧記』仁安2年(1167)冬巻裏文書)に「一宮司」とあって、一宮司が一宮神社社司とみられることから、久安2年までには分祀されていたと考えられる。
また同じく「河人成俊等問注申詞記」には大粟山の初見とされる「大粟山住人安宗」の記述もある。
当社より分祀された一宮神社は当初より国一宮として祭祀されており、当社が分祀以前より元々一宮として機能していたからであると考えられている。
参道入口の大鳥居

上角の集落内の道から一歩入ったところに建つ。
大鳥居の扁額

参道

大鳥居をくぐってすぐの場所。
参道の鳥居

右側は車道の参道。境内まで行くことが出来る。
隋身門

参道

木立に囲まれた参道で、心が盛り上がる。
参道

途中から苔むした石階段になる。良い。
注連縄柱と拝殿

石階段を登りきった所。
社殿

拝殿は唐向拝のある入母屋造。
本殿

春日造。阿波国で春日造は珍しい気がした。
境内社は社殿のある区域の他、車道の参道に少祠がある。『明治神社誌料』には八坂神社、若宮神社、地神社、朝宮神社があるが、それに合致するものはなかった。石祠や少祠のいずれかがそれらに当たるのかもしれない。以下参拝した順に掲載してみる。
地神社?

讃岐、阿波によく見られる六角柱の地神社と思いきや、四角柱のものであった。
小石祠

車道参道沿いにあったと思う。
瑜伽大権現

備前国の瑜伽大権現を勧請したものと思われる。
境内社

小石祠

亀命天宝神

参拝当日は舞台が設置され、舞奉納が執り行われていた。ここまでの画像は舞奉納の2時間後に再訪問したもので、この間に撤収が終わっていたので、改めて撮影したもの。
舞奉納

舞奉納

[雑記]CSSの修正程度でモバイルで少しだけでも見やすく対応しようとずっとずっと思っていたのだが、ようやくその気になったので、本日リニューアル版をアップしてみた。そのついでに久々に参拝記もアップした。約5年ぶりとなったのだが、またぼちぼちとアップできればと思う。
交通機関・駐車・駐輪情報・到着難易度・参拝時間・御朱印
JR徳島駅から南西へ約20km。徳島駅からバスがある。そこそこ本数はあるので、往復の行程設定は可能と思う。
参拝者駐車場=あり、駐車=バイク〇自動車〇。
神山温泉バス停から徒歩約5分。
参拝時間は鳥居から参道を徒歩で登った場合約20分ほど。
境内には社務所があり、在宅時には御朱印を受け付けている。
[作成日]2025年01月30日
[更新日]2025年01月30日
[参考]
・諸国神社神階制の研究 ・明治神社誌料 ・神祇志料 ・神社覈録 ・阿波志