美具久留御魂神社
みぐくるみたまじんじゃ
参拝日:2018年6月4日
2019年6月4日午後の参拝、良い天気だったので富田林寺内町に出かける計画を立て、近くにある当社を参拝した。梅雨入り前で日差しもあって結構暑かった日。近鉄南大阪線と古市駅からは長野線で最寄り駅の喜志駅へ。
大阪府富田林市宮町に鎮座。金剛山地と羽曳野丘陵に挟まれた地を石川が北流、当社は羽曳野丘陵側の傾斜地にある。喜志駅の西出口から国道170号線に出て、500mほど南へ行くと宮前交差点、そこから西へ進むと参道になる。延喜式に河内國石川郡美具久留御魂神社として記載のある古社。
社伝には、崇神天皇御宇10年、当地に五彩の巨蛇が現れ住民を悩ませたので、天皇は巨蛇の巣窟を見て、「大国主神の荒御魂が荒ぶっている。よく祀るように。」と言われ祀ったことが創祀とされる。
崇神天皇御宇60年には丹波国氷上の氷香戸辺という小児に「玉菨鎮石(たまものしずし)出雲人祭(いずもひとのまつる)真種之甘美鏡(またねのうましかがみ)押羽振甘美御神(おしはぶれうましみかみ)底宝御宝主(そこつたからみたからぬし)山河之水泳御魂(やまかわのみぐくるみたま)静挂甘美御神(しずめかけよううましみかみ)底宝御宝主(そこつたからみたからぬし)」という神託があり、天皇は皇太子活目入彦命を遺わし、「美具久留御魂神社」と社号を称え祀らせたという。
文徳実録の嘉祥3年(850)和尓神に従五位上奉授の記事があり、和尓神を当社に比定する説がある。当社には別称がかなりあって、その中に和爾宮がある。当社東400mにある粟ケ池は一説に和爾池ともいい、根拠としているのだろう。
その他の別称には下水分社があり、南河内郡千早赤阪村水分の建水分神社を上水分社と称するのに対しての呼称で、楠正成は上水分社と共に当社を崇敬、神領寄進や社殿造営を行っている。
室町時代末頃には11坊を擁し繁栄していたが、天正13年(1585)豊臣時代の根来攻めの際、当社も大きな被害を受け、再興したのは万治3年(1660)のこと。以降の江戸期は庶民の篤い信仰に支えられていた。明治時代に入り、近郷五箇町村の氏神として郷社に列せられた。明治40年河内國古市郡の式内社利雁神社を合祀、境内社として祀られるようになった。
東高野街道の鳥居から境内鳥居、拝殿、本殿まで全て東向きに建てられている。
参道入口

参道入口の注連縄柱

境内入口の鳥居

下拝殿前の参道

下拝殿

入母屋造で割拝殿。くぐり抜けてそのまま上拝殿の階段参道へ。
上拝殿への参道

上拝殿への参道

上拝殿

切妻造りで唐向拝つき。
神門

本殿周囲は神門と透塀で囲まれている。
神門と透塀

本殿

本殿区画、右側から

境内社は『式内社調査報告』によると皇大神社・熊野神社・貴平神社・青箭宮・南木宮・白雲宮・郡天神社・利雁神社・愛宕神社・大伴神社・紫天神社・富榮神社・旭岡神社・稲荷神社の14社がある。社殿の配置も記載されているのだが、現在地と異なっているものがあるし、見つけられなかった境内社がある。また境内に神社案内図があるが、それも現在地との相違がある。
以下今回わかる範囲で回っているので、ある程度区画毎に掲載してみる。
透塀に囲まれた本殿区画には、本殿左側に熊野神社と貴平神社(二社合殿)・南木神社、本殿右側に皇大神社・天満宮・利雁神社がある。
熊野神社と貴平神社(二社合殿)・南木神社

本殿の左側に二宇並んでいる。
熊野神社は大宝元年(701)創建、祭神伊弉諾命・素戔嗚命。当社の奥の宮との説がある。
また根来寺の氏神とも。
貴平神社は嘉祥3年(850)創建、祭神須佐之雄神・宇迦之御魂神。
南木神社は応永11年(1404)楠正秀の創建、祭神楠正成、楠正虎。
皇大神社

祭神天照皇大神・事代主大神・大物主命。支子大神宮、河内大神宮と称された。
天満宮

『式内社調査報告』に天満宮とは無く、天正年間勧請の紫天神社か、あるいは明治40年合祀の郡天神社、または相殿になっているのかもしれない。

河内國古市郡の式内社で明治40年に合祀、境内社として祀られるようになった。
社号標には「式内利雁神社」とある。
祭神は保食神・品陀別命・天児屋根命。
創建年代は不詳。
社伝によると元亀天正の兵乱によって戸刈山(王ノ宮ともいう)よりいまの羽曳野市尺度に遷座した。
明治5年村社。
旧社地は現在の大阪府立環境農林水産総合研究所の敷地内と推定される。
近くに戸刈池という池がある。
下拝殿から上拝殿への参道から右方向に階段参道があり、進んでいくと本殿区画の右側に白雲宮と稲荷神社がある。
稲荷神社参道

支子稲荷神社の社号標がある。
稲荷神社

白雲宮社号標

白雲宮

祭神は神武天皇、他10柱。
ということで青箭宮・郡天神社・愛宕神社・大伴神社・紫天神社・富榮神社・旭岡神社は見つけられなかった。郡天神社、紫天神社は天満宮かもしれない。
その他の境内社。
境内社

下拝殿から上拝殿への参道から左にある。境内地図からは龍神社と思われる。
嘉喜門院御廟所

下拝殿から右方向にある。
境内社

下拝殿から右方向にある。詳細不明。
東側の国道170号線(東高野街道)に鳥居と御旅所がある。
東高野街道の鳥居

東高野街道の鳥居

御旅所

御輿を置く台座?がある。
御旅所の少祠

交通機関・駐車・駐輪情報・到着難易度・参拝時間・御朱印
近鉄長野線貴志駅から南西へ約750m、徒歩約15分
参拝者駐車場=あり、駐車=バイク〇自動車〇。
徒歩、バイク、自動車で容易に到着できる。
上拝殿、境内社を含めて参拝は約30分程度。
御朱印は境内に社務所がある。不在時もあり常時受け付けていないようす、要事前確認。
[作成日]2019年12月18日
[更新日]2019年12月18日
[参考]
・式内社調査報告 ・境内由緒書