所在地: | 大阪府東大阪市出雲井町7番16号 [地図] | |
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御祭神: | 天兒屋根命(第一殿) 比賣命(第二殿) 経津主命(第三殿) 武甕槌命(第四殿) |
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公式頁: | http://www.hiraoka-jinja.org/ | |
社格等: |
承和3年(836)5月9日 承和3年(836)5月9日 承和6年(839)10月29日 承和6年(839)10月29日 承和10年(843)6月8日 斎衡3年(856)10月19日 貞観元年(859)正月27日 貞観元年(859)正月27日 |
天兒屋根命 正三位 続日本後紀 比賣神 従四位上 続日本後紀 天兒屋根命 従二位 続日本後紀 比賣神 正四位下 続日本後紀 平岡大神社 従二位、神主永預把笏 続日本後紀 平岡神 従一位、加幣布廿四端 文徳実録 枚岡天兒屋根命 正一位 三代実録 枚岡比咩神 従三位 三代実録 |
延喜式内社 河内國河内郡 枚岡神社四座 並名神大 月次相嘗新嘗 河内国一宮 大神宝奉献社 官幣大社 別表神社 |
枚岡神社
ひらおかじんじゃ
参拝日:2010年3月27日
この日は天候もよく、午後から急にどこか出かけたくなり、以前から登る機会を伺っていた神津嶽本宮に向かった。
御朱印は2009年12月25日参拝のもの。一の鳥居は2011年11月30日に訪問。
大阪平野の中央部東端、生駒山地の西山麓、東大阪市出雲井町に鎮座。
近鉄枚岡駅の東改札口の正面すぐ目の前に境内入口の鳥居があり、鳥居を背に立てば大阪平野が眺望できる風光豊かな地。境内域の北には奈良時代には整備されていたとされる暗越奈良街道が大阪と奈良を最短で結び、西には南北に東高野街道が通り、交通の要衝地へと変遷した場所。
社伝によると、創祠は皇紀元前3年、神武天皇の勅を受け、中臣氏の祖、天種子命によって神津嶽山頂磐境に天兒屋根命、比賣命の二柱を祀ったことにはじまるとされる。平岡(枚岡)の社名は、創祠した神津嶽山頂が平らだったからだという。
白雉2年(650)平岡連によって山頂から現在地に遷された後、神護景雲2年(768)天兒屋根命、比賣命の二柱を奈良の春日大社へと分祀したため、当社は「元春日」と称せられる。
天兒屋根命は「記紀」などにおいて宮中祭祀を執り行う神。中臣氏・藤原氏の祖神で、その中臣氏の支流平岡連がその祖神を祀ったことが創祠の姿であろう。比賣命は天兒屋根命の后神、天美豆玉比売命であるとも。あるいは天照大神とも。公式頁には后神とだけある。
宝亀9年(778)には武甕槌命、経津主命の二神を春日社から迎え配祀された。
国史には藤原氏の隆盛により祖神として当社への崇敬が高まった承和3年(836)天兒屋根命へ正三位奉授記事が初出となる。
その後は順調に昇授を重ね、貞観元年(859)には枚岡天兒屋根命へ正一位が奉授されている。
延喜式神名帳には四座共に名神大、月次相嘗新嘗各祭の幣帛を受ける。
大神宝奉献社としての記録があり、二十二社に次ぐ地位の神社である。
中世以降には河内国一宮として朝野の信仰を広く集めた。
明治4年に官幣大社、戦後は神社本庁の別表神社。
境内入口の鳥居からまっすぐ参道を進むと若干参道は左に逸れ、階段が見える。社殿はその階段の上。社殿の南側へ伸びる道から春日造の本殿四宇が見える。参道に境内社二社と地名の由来にもなっている出雲井、さらに進むと神津嶽山頂の神津嶽本宮に通じる道。
一の鳥居
かつては鳥居町交差点にも鳥居が建立されていたのだろうと参拝時に思ったのだが、後日再訪問してみて、一の鳥居は国道170号線 -東高野街道- 鳥居町交差点から南に約200mの交差点に建っていることがわかった。 脇の石碑には神津嶽を望むと書いてあるので、若干凸としているところがそうだろうか。
境内入口の鳥居と参道
近鉄枚岡駅からすぐにある鳥居から参道を進む。社号標には官幣大社枚岡神社と書かれている。一宮に参る時の鳥居前はいつもわくわくする。訪問時は東高野街道の通る鳥居町から当社に向かってみた。かなりの急坂があり、自転車で登り切ることが出来なかった。あれはムリ。
拝殿前の階段参道
参道を進むと逆矛が2本立ち、その先に注連縄柱、階段が現れる。更にその先に拝殿の姿。
階段参道両脇の狛鹿
元春日と呼ばれる当社らしく狛犬の代わりに狛鹿が配されている。拝殿に向かって左側の子鹿を抱いている狛鹿が印象的。
拝殿
快晴の中の参拝。3月下旬の陽光が柔らかく気持ちいい。
本殿前の中門
拝殿背後にある本殿前の中門。本殿は石垣で分かるように、一段高い地に建てられている。
本殿4棟
拝殿右側から摂社末社への参道が延びており、そこから本殿を目にすることが出来る。春日造り四連の本殿が壮観。素晴らしい。本殿は向かって右から、2殿・1殿・3殿・4殿の順で並ぶ。
社殿南側の境内社参道
拝殿を右に進むと、枚岡梅園、神津嶽本宮へ向かう道端の石灯籠群。年代銘は18世紀から19世紀のものが並ぶ。画像左側には摂社若宮社。
若宮社
天兒屋根命と比賣命の御子神、天忍雲根大神を祀る摂社若宮社。
出雲井
若宮社の左奥にある。鎮座地名、出雲井町の元になったといわれる。
天神地祇社
若宮社から少し進むと天神地祇社がある。天津神・国津神を祀る。かつて境内に点在していた19末社と近隣の神社を明治5年に合祀。
ここからはハイキングコースで神津嶽本宮へ向かう。
枚岡山展望台
天神地祇社からハイキングコースをしばらく登った枚岡山展望台からの眺望、画像中央には花園ラグビー場、右側のラインは阪神高速東大阪線。地平に霞むのは大阪市内の高層ビルの影。天神地祇社から約25分。
神津嶽本宮登り口
神津嶽本宮登り口、展望台からは約5分。
神津嶽本宮境内
伝承による、かつての枚岡神社鎮座地である。当社拝殿付近からここまでは約30分。
神津嶽本宮社殿
神津嶽本宮の石祠。
枚岡神社創祀之地の碑
神津嶽本宮境内には枚岡神社創祀之地の碑がある。
枚岡神社創祀之地の碑
此処は枚岡神社創祀の地なり。その昔、神武天皇御東征の砌浪速から大和に進み給はむとす。その時、天種子命、勅命を奉じ生駒山西方の霊地神津嶽の頂上に一大磐境を設け、国土平定祈願のため天児屋根大神・比売大神の二神を奉祀す。ときに神武天皇即位紀元前三年即ち枚岡神社の起源なり。その後孝徳天皇白雉元年神津嶽の霊地より現在地に社殿を造り奉遷す。
神社辞典
枚岡神社の項
大阪府東大阪市出雲町。旧官幣大社(現、別表神社)。
社伝によると神武天皇が大和国に肇国の際天種子命に命じ、その祖神天児屋根命を神津嶽に祀って国の言向けを祈ったのに始まるという。
天児屋根命は『記紀』などに見える宮廷の祭祀を務める神で、中臣氏後の藤原氏の祖神である。中臣の支族平岡連は河内国に栄え、祖神を祀ったのが本社であろう。
現在の鎮座地は生駒連山神津嶽の西の麓である。第一殿に天児屋根命、第二殿に比売神、第三殿に武甕槌命、第四殿に斎主命を祀る。奈良の都に春日大社が創祀される時、本社から第一・第二殿の神を迎えて奉斎している。世に元春日と呼ばれる理由である。
春日大社の成立後第三・第四殿の鹿島、香取両神官の祭神を配祀した。『延喜式神名帳』はこの四座の神を列記して名神大社に列している。
皇室の外戚家の祖神として官祭に預かり、『続日本後紀』『三代実録』など国史の記載がある。中世河内国一の宮を称し、国中の信仰を集めた。春日造の本殿四宇が並び、正画に祝詞舎、透塀をめぐらし、その前面に拝殿が独立して建つ。
例祭二月一日、 一〇月一五日。春秋二季の祭は氏神祭の古制を止めたものであろう。現在秋祭は里祭といい、氏子の町内から十数台の太鼓台が出て社参する。摂社に若宮神社がある。
社伝によると神武天皇が大和国に肇国の際天種子命に命じ、その祖神天児屋根命を神津嶽に祀って国の言向けを祈ったのに始まるという。
天児屋根命は『記紀』などに見える宮廷の祭祀を務める神で、中臣氏後の藤原氏の祖神である。中臣の支族平岡連は河内国に栄え、祖神を祀ったのが本社であろう。
現在の鎮座地は生駒連山神津嶽の西の麓である。第一殿に天児屋根命、第二殿に比売神、第三殿に武甕槌命、第四殿に斎主命を祀る。奈良の都に春日大社が創祀される時、本社から第一・第二殿の神を迎えて奉斎している。世に元春日と呼ばれる理由である。
春日大社の成立後第三・第四殿の鹿島、香取両神官の祭神を配祀した。『延喜式神名帳』はこの四座の神を列記して名神大社に列している。
皇室の外戚家の祖神として官祭に預かり、『続日本後紀』『三代実録』など国史の記載がある。中世河内国一の宮を称し、国中の信仰を集めた。春日造の本殿四宇が並び、正画に祝詞舎、透塀をめぐらし、その前面に拝殿が独立して建つ。
例祭二月一日、 一〇月一五日。春秋二季の祭は氏神祭の古制を止めたものであろう。現在秋祭は里祭といい、氏子の町内から十数台の太鼓台が出て社参する。摂社に若宮神社がある。
交通機関・駐車・駐輪情報・到着難易度・参拝時間・御朱印
近鉄奈良線枚岡駅の駅前、境内入口の鳥居まで徒歩すぐ。参拝はきつい坂道もないため神津嶽本宮を除けば誰でも安心して行える。近鉄を利用する場合には沿線前後を一日コースでプランニングするとか、南北へは東高野街道が通っており、徒歩でも双方5Km以内と適度な距離には鉄道が走っているので、そういうコースを設定するのもいい。
国道308号線箱殿交差点から東進、近鉄奈良線の高架を過ぎてすぐの交差点を南へ、鳥居を過ぎてすぐに境内入口の鳥居。境内入口の鳥居左側に駐車場の入口。
参拝者駐車場=あり 駐車=バイク〇自動車〇。
徒歩、バイク、自動車に関わらず容易に到着できる。
参拝時間は神津嶽本宮への往復を含めて2時間程度。
御朱印は社務所にて、常時受け付けていると思われる。
[作成日]2016年11月18日
[更新日]2016年11月18日
[更新日]2016年11月18日
[参考]
・式内社調査報告 ・神社境内由緒 ・神社辞典(東京堂出版) ・古代諸国神社神階制の研究(岩田書院)