所在地: | 埼玉県さいたま市浦和区岸町3-17-25 [地図] |
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御祭神: | 天照大御神・豊宇気姫命・素盞嗚尊 |
公式頁: | |
社格等: |
延喜式内社 武蔵國足立郡 調神社 明治6年 郷社 明冶31年 県社 |
調神社
つきじんじゃ
参拝日:2017年4月17日
埼玉県さいたま市浦和区岸町に鎮座。浦和には「浦和」と付く駅名がことのほか多いが最寄り駅は東北本線のJR浦和駅。その西口をまっすぐ進むと浦和駅西口交差点があり、この道が旧中山道。それを南へ500mほど進むと調神社の境内入口がある。後述するが当社には鳥居がない。入口の右側に社号標があり、珍しい狛兎が配されている。JR浦和駅から南西約550m、埼玉県庁が北西700mにある。
都心の宿から一旦東京駅に向かい、京浜東北線で浦和に向かったのだが、大宮方面へ向かう列車によっては15両か16両編成で走っていて驚いた。さすが首都圏だなぁと思いながら、下りだからかそんなに朝のラッシュにもあわずにJR浦和駅に到着。たくさんの人が駅に吸い込まれていたが、僕は逆方向へ。調神社に到着したのが6:50頃、天気は午後から雨予報の日で延喜式内足立郡の神社巡拝の予定。
社伝によれば開化天皇の御宇に奉幣の社として創建され、崇神天皇の時代に勅使として倭姫命が武蔵国高鼻郷の清らかな地を選んで、神宮に奉る調物を納める御倉を建てられた。武総野の初穂米調集納蒼運搬所と定められたといい、調物の搬入の妨げになるため鳥居や門の設置をしないことになっている。
調神社の起源はここに置かれた屯倉で、調物が東山道を経て運ばれている時にはその役割を果たしていたが、武蔵国が東海道に属するようになるとその役割を終え、神社として奉斎されるようになったと考えられている。
延喜式神名帳に記載のある古社で、他に同名社もなく、鎮座地も古来変わっていないという。大宮台地の南端にある当地は古代においては東京湾が深く入り込み、三方を水辺に囲まれた地であった。地名の岸もそこからきているとされる。
調神社は古代に租税を司る職にあった調氏が奉斎した神社であるとの説がある。『新撰姓氏録』に調連は百済努理使主の後裔で応神天皇の時に帰化し調物を献じた功により、継体天皇より調首の姓を賜ったとある。
また調神社はその読み「つき」から月神の信仰が盛んになり、「月の宮」「月待の宮」(『新撰武蔵風土記稿』)や「月読大明神」(『神祇志料』)などと称されていた。それで狛犬のかわりに狛兎が配されている。
現在の祭神は天照大御神・豊宇気姫命・素盞嗚尊を祀っている。その他文献には、
『惣国風土記七十七残欠』 瀬織津比咩 調(布物)と織からの連想とも
『武藏国式内社四十四座神社命附』 調玉命
『武藏国風土記稿』 日の神・倉稲荷玉命
『特撰神名牒』 天照大神・宇賀御玉神
当社には「七不思議」といわれる伝説がある。
1.鳥居がないこと。
2.境内に松の木がないこと。
当社ゆかりの姉弟神(天照大神と素盞鳴命)が来られ、弟神が大宮へ行ったので、姉神がこの地で待っていたが、待てども弟神が戻ってこないので「待つ事は嫌いじゃ」と言ったとか、待っている時に松で目を突かれたからだとか。いま正月の門松に松は使わないという。
3.御手洗池(現在はない)に魚を放てば必ず片目になる。
4.使姫兎。神の使いの兎
5.日蓮上人駒繋ぎの欅。
6.蠅がいない。
7.蚊がいない。
境内入口の前は旧中山道にあたり、古代においては舟運と東山道、近世以降は中山道に沿っていたが、浦和宿に隣接する農村地帯であった。境内入口は西面し、参道を進んで拝殿前で参道は北向きに進む。社殿は南面している。
境内社が『式内社調査報告』によれば、稲荷神社、天神社、金刀比羅宮、四柱神社。『新編武蔵風土記稿』には石神社(稲荷合祀)、蔵王社、稲荷社(熊野合祀)、第六天社、天神社、神明社とある。今回確認できたものとは相違があった。
境内入口
社号標には「懸社 延喜式内調神社」とある。境内入口、社号標と狛兎
狛兎を見たのは初めてだった。台座に萬延2年造・平成25年複製とある。参道
きれいな境内に感謝。参道と拝殿
拝殿
拝殿前の木を注連縄柱にしている。拝殿
入母屋造の拝殿、小振りの千鳥破風と唐向拝が付いている。
拝殿の社号扁額
明治8年の銘がある。本殿
入母屋造妻入りの本殿のようである。権現造であるとも。神楽殿
境内南東部にある。
先代の狛兎
こちらが萬延2年銘のもの。
境内隣接の調公園
ここには前方後円墳があったらしいが、いまは掘削されている。桜が若干まだ残っていた。
境内社は境内の南域に金毘羅神社と調宮天神社、社殿の東側に稲荷神社がある。この他に社殿の後方、立ち入ることが出来なかったが社殿が二宇確認できた。公園北に第六天神社があり、こちらも所管しているようだが行けていない。
稲荷神社の鳥居
境内東部にある。
稲荷神社(修築中)
旧本殿、一間社流造、唐向拝。
稲荷神社(修築中)
装飾が見事。煙草稲荷ともいわれているらしい。稲荷神社仮殿
修築中だったので左側に仮殿。金毘羅神社の鳥居
本社境内入口の南側に並行してある。
金毘羅神社
調宮天神社
金毘羅神社の左側にある。久久能智神の石碑祠
稲荷神社の左側にある。久久能智神は木の神。
本殿後方の境内社二宇
四柱神社・石神社(稲荷合祀)・蔵王社・神明社に該当するのだろうか?
交通機関・駐車・駐輪情報・到着難易度・参拝時間
JR浦和駅が最寄駅で、境内正面まで徒歩約10分。参拝者駐車場=なかったと思う 駐車=バイク×自動車×。
徒歩、バイク、自動車に関わらず容易に到着できる。
参拝時間は境内社を含めて約15分ほど。
[作成日]2018年3月13日
[更新日]2018年3月13日
[更新日]2018年3月13日
[参考]
・式内社調査報告 ・武蔵の古社